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HIPHOPうんちくん

おもに米HIPHOPの新譜やアーティストのうんちくなどについてつらつらと執筆するブログです。

「アメリカのラップも聴いた方がいいですか?」という質問。

こんにちわ。昨今、ちまたでは<日本語ラップ>が盛り上がっていますね!

というわけで、最新の「サイゾー」誌には「増加する【ビッチ】ソングの是非」というテーマでコメントを(初めて取材していただく側に…照)、そして「ユリイカ」誌には「USラップシーンのトレンドの変容と日本語ラップ 」というテーマで寄稿させて頂きました。どちらも、お話を頂いた時には「私でいいのかな…」と思ったのですが、お声掛け頂き、とても光栄に思っております。

今日もラジオで喋ったんですが、「日本語ラップ!」と言われると、「英語のラップもあるよ!」と言いたくなってしまうのが私の性分でして…。

私、インターネットラジオ局・blocl.fmで「INSIDE OUT」という主に最新のHIPHOP情報をお届けする番組のホストMCをさせて頂いておりまして、今年でなんと5年目に突入します。もともとはラッパーのAKLOくんも一緒にホストを務めており、彼も番組に在籍していた時は「USの最新HIPHOPR&B情報」をお届けすることにこだわっていて。というのも、今って海外の音楽ブログやサイト、音楽ストリーミング・サイトなどで日々発信される情報、発表される新曲はめちゃくちゃ多い割に、それを日本語で伝えるメディアって本当に無いんですよね。総合的な音楽サイトや個人のブログなどはあれど、海外のHIPHOPを割と専門的に扱っているメディアってほぼ皆無に等しいのでは無いでしょうか…。なので、リスナーが能動的に必死でしがみついていかないと、USを初めとする海外のHIPHOP情報にキャッチアップすることって結構ハードルが高いんですよね〜。しかも、英語という言語のハードルもあるし…。そんなわけで、USの、ってところに重点を置いていたわけなんです。今も、いろんな国内のラッパーやDJの方をゲストにお迎えしているけど、リアルタイムにUSのシーン、アツい新曲も積極的に紹介しているつもりです。

今、日本のドメスティックなHIPHOPシーンが成熟期を迎えていることもあって、ラップの楽曲が聴きたいと思ったら、日本だけの楽曲だけでも全然事足りちゃうんですよね。「HIPHOPは好きだけど、日本語ラップしか聴きません!英語のラップは分からないので聴きません!」と言われることもあったりして、もちろん、それはそれで喜ばしいことなんだけど、常にUSのラップ作品を追いかけてきた身としては一抹の寂しさも覚えちゃう…っていう。

USと日本って、HIPHOPシーンの産業規模が全然違っていて、道端でコカイン売ってたゴロツキの男性があれよあれよと言う間にラップで成功して、幾つか企業もM&Aなんかしちゃって、今では億万長者…ってことが本当にあり得るんですよね。地方の田舎者ラッパーみたいな扱いだったのに、今じゃ何本も人気映画作品に出演していたりとか。N.W.AのDr.ドレーなんて、今やアップルの役員ですからね…。なので、発表される作品もお金の掛け方や、新人ラッパーの契約金の額面も段違いだったりして、そうした点も端から見ていてとてもエキサイティングに感じてしまうんですよね。

で、当たり前だけどシーンの規模がデカいから、リスナーもラッパーも、その他関係者も、その母数がめちゃくちゃデカい。なので、日々発表される楽曲の数もめちゃくちゃ多い。その分、進化のスピードもハンパないし、次々と新しいトレンドが生まれる。

なので、HIPHOPシーンの「お手本」としてUSのシーンを追いかけることも、リスニング・ライフを楽しくする一つのポイントになるのではと思っています。たまに「アメリカのラップも聴いた方がいいですかね?」と聞かれるることがあるんですが、「聴いた方がいいですよ!」と返しています。

私はこういったサイトをよく見ています。英語だけど、見出しだけ読めばだいたい中身は予想がつくようになっていると思います。「XXXというラッパーのYYYという新曲が出たのか…」みたいな。

先日、ある方から「日本語ラップのMCたちが、USの最新ラップ曲を追いかけることに必然性はありますか?」と聞かれることがあったんですね。端的に言うと、私は「(必然性は)ある」と思います。そうすると、「日本のHIPHOPって、結局アメリカの黒人の真似だろ?」とたびたび言われることがあるんですよね。不思議ですが、私は以下のように考えていて。

例えば、イタリア料理に魅せられた日本人がいるとしますよね。日本のとある町の近所のピザがめっちゃ美味しくて、俺もこのピザを作れるようになりたいな、と思って、そのレストランで腕を磨く。でも、本場のイタリアの味も知りたいと思うようになり、実際にイタリアで修行して、それをベースに、日本でさらに切磋琢磨していく。同時に、本場ではピザを作る技術にどんな変化が生まれているのか?イタリアのピザ屋ではお客さんにはどんなモノが求められているのか?なんてことを常に気にするマインドも自然と生まれていくと思うんですよね。そんな彼のピザを「どうせイタリア人の真似だろ?」と揶揄する人はいるのかしら?寿司に魅せられたアメリカ人とか、相撲に魅せられたモンゴル人でも、なんでもいいんですけど。

もちろん、USで発達してきたHIPHOPシーンは奴隷制をルーツとした、アメリカ黒人の皆さんが抱える問題が色濃く反映されて来ていることも事実。抑圧された環境の中で「言いたいこと」があるから、みんな、それをライムにしてきた。HIPHOPのライブでもよく見かける「コール&レスポンス」というお客さんとの対峙の方法がありますが、あれも、もともとは奴隷制時代における黒人たちの労働歌が下敷きになっているとも言われていて、それがゴスペルに発展していったという側面があります。あと、畑を所有している主人に歌の内容が分からないよう、聖書の内容をいろんな比喩を使って歌詞に落とし込み、それを労働歌として歌っていた…とかね。これも、今のHIPHOPのリリックの要素と似ているよね。

ラップをきっかけにHIPHOPに興味を持った方がいれば、こうした背景も探ってみると面白いし、知っておくだけで全然違うと思います。その上で、その文化にリスペクトがあればいいんじゃないかな、と。

危ない危ない、どんどん話が脇道に逸れていってしまいました。その他、HIPHOPパブリック・エネミーとかKRSワンとかの関係性は、気になる方は調べてみてください。あと、「ユリイカ」をどうぞ。私は特に、いとうせいこう氏が「鎖国はするな!」と仰っているのに感銘を受けたし、漢氏の「ラップはもはやヒップホップじゃなくて技術」というお言葉にもハッとしました。今、流行っている「ラップ」って、きっと表現方法の一つの手法としてのラップなんだよね。HIPHOPの文脈ではなくて。

そんなこんなで、じゃあ結局、USのHIPHOPシーンってどうなっとんの?という方は、「WOOFIN'」最新号を読んで見て下さい。

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表紙はアトランタのスター・ラップ・トリオのMIGOS(ミゴス)です!すごいよ!

あとはINSIDE OUTもよろしくね!

ではでは〜。